【愛知公演曲紹介ばいおん】「ハムレットの音楽」

皆さんこんにちは!

夏の暑さも和らぎ、いよいよ空気が秋めいてきましたね。

本日より11月に愛知で開催します、愛知教育大学との合同演奏会の曲を紹介していきます。

愛知公演曲紹介ばいおん第1弾!

というわけで本日ご紹介するのは、アルフレッド・リード作曲「Music for Hamlet (ハムレットの音楽)」です。

「ハムレット」と言えば、「オセロ」「マクベス」「リア王」と並びシェイクスピアの四大悲劇とも称される戯曲。題名だけは聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

物語の主人公はデンマーク王子のハムレット。父である王が亡くなり、叔父のクローディアスが王座につきますが、ある日ハムレットは父の亡霊からクローディアスが王座のために父を毒殺したという真相を聞きます。

父の仇を討つため、ハムレットは狂気を装い、証拠集めなど復讐の準備を進めていきます……という感じのお話。結局は登場人物の大半が死ぬという破滅的な結末を迎えます。救いがない…

それぞれの行動が上手く噛み合って進むストーリーや、多様な解釈ができる人物の心情など、不朽の名作と言えるでしょう。

シェイクスピア作品らしい、名言もいくつか登場します。”to be or not to be (生きるべきか死ぬべきか)”などが有名ですね。

そして作曲者のリードは「吹奏楽の父」とも称されるほど、多くの吹奏楽作品を残した作曲家。彼はシェイクスピアの戯曲を題材にした曲を5つ書きましたが、「ハムレット」はその中でも最初のものになります。

曲は4楽章からなり、それぞれが劇中のあるシーンをモチーフに作られています。

・第1楽章「プロローグ、エルシノア城とクローディアスの宮中」

パーカッションが雷鳴のように鳴り響く、衝撃的なスタート。ファンファーレやパッセージが昏くかけ合い、ドロドロとした陰謀が立ち込める城内のような、不気味な雰囲気を醸し出します。最後に木管が暗く締めた……かと思いきや一気に駆けあがり雰囲気は一変、明るい「昼」のエルシノア城を描き出します。クローディアス新王の戴冠を祝う盛大なファンファーレが繰り返され、第1楽章は華やかに締めくくられます。

 

・第2楽章「ハムレットとオフィーリア」

ハムレットに想いを寄せるオフィーリアと、それを鰾膠無くあしらうハムレット。クラリネットとオーボエが中心のゆったりとしたメロディが甘く歌われます。オフィーリアの心情を描写するようなメロディは、優しさの中にどこか切なさ、物悲しさを感じさせます。

 

・第3楽章「俳優達の入場」

城を訪れた劇団の俳優達が入場するシーン。劇中では、ハムレットが俳優達に王の暗殺という当てつけたような脚本の劇を演じさせて、それをクローディアスに見せてカマをかけようという作戦に出ます。

という裏の企みは置いておいて、曲そのものはとても明るく楽しげです。トランペット、トロンボーンのファンファーレを皮切りに木管のメロディが続きます。華やかさと細かく軽快な動きがかけ合うように繰り返され、勢いそのままにあっという間に終わります。演奏時間は4つの楽章の中で一番短いですが、第1楽章とはまた違った明るさ、華やかさは十分な印象を残していきます。

 

・第4楽章「エピローグ、ハムレットの死」

ハムレットとレアティーズの決闘シーン。レアティーズはオフィーリアの兄で、この時点で妹は死に、父がハムレットに殺されています。彼の剣には王によって毒が塗られており、結果として両者共にその毒を受け、さらに王妃(ハムレットの母)も陰謀の一端に巻き込まれ絶命。真実を知ったハムレットは激昂し、毒の剣でクローディアスを貫きます。

曲は重々しく始まり、第1楽章前半のメロディを取り入れながら徐々に盛り上がり、頂点に達します。これまた第1楽章前半のファンファーレが悲壮感を漂わせるように響くと、木管達によって先ほどのメロディが繰り返され、徐々に静まっていきます。レアティーズと互いの罪を許し合い、息を引き取ったハムレットのように、最後は打楽器の鼓動も止み、悲しみの中ゆっくりと幕を閉じます。

リード作品といえば明るく華やかなイメージが強いですが、やはり悲劇を題材にしているだけあって暗いパートが多い曲です。しかしファンファーレの華やかさや和音の重厚感にリードの作風を感じられるかと思います。

 

〈静岡大学吹奏楽団×愛知教育大学吹奏楽団 合同演奏会〉

11/13(日) の13:00開場  13:30開演

場所は愛知県 豊田市民文化会館です。

チケットはこちらから→https://t.co/cMa9NLHoOr

書いた人 ぴょん🐰