【愛知曲紹介ばいおん】「第六の幸福をもたらす宿」

こんにちはこんばんは!

企画係です!

 

前回に引き続いて、愛知公演の曲紹介第二弾!本日紹介するのは「第六の幸福をもたらす宿」になります。

元は「The Inn of the Sixth Happiness (六番目の幸福)」という映画作品の音楽になります。1958年に公開されたアメリカの作品ですね。イギリスの女性宣教師エイルウォードを主人公の、実話を基にしたヒューマンドラマです。

曲名は劇中に登場する宿の名前から。中国の教えには5つの幸せ(長寿、富貴、健康、道徳、天寿)があり、6つ目に各自その人だけの幸福を、自分自身で探し出すことができる、という意味が込められてます。素敵ですね。

そしてこの曲、映画音楽なので、それを流すシーンがあるわけで、それごと紹介したい……。

ということで、映画の簡単なあらすじと一緒にどんな曲か紹介していこうと思います。少々長くなりますがお付き合いくださいm(_ _)m

 

中国での伝道活動に参加すべく地元を飛び出しロンドンにやってきたエイルウォードですが、無資格を理由に断られます。彼女はそれでも諦めず、住み込みの使用人として働いて片道分の旅費だけ貯めると、自力で中国に渡ろうと決意します。

そんな熱意に満ちた彼女がロンドンに到着したシーンを描くのが第一楽章「ロンドンプレリュード」。鐘の音が鳴り響き、ホルンとサックスによる第一のテーマ、決意のテーマから始まると、楽器を増やしながら繰り返されます。その後第二のテーマ、愛のテーマに移ります。3楽章を通して登場する二つのテーマを華やかに、あるいは優しく奏でていきますが、伴奏がどこか力強さを感じさせ、これからに思いを馳せるエイルウォードを象徴するような楽章になっています。

 

紆余曲折ありつつも中国奥地の村にたどり着きます。そこで出会った宣教師ローソンと「六福桟」という宿を開きます。行商などで宿泊するお客に聖書を語り聞かせる機会を作る作戦です。(桟は宿の意味、つまり「第六の幸福(をもたらす)宿」ですね)

当初は「得体の知れない余所者」という厳しい扱いを受けるエイルウォード。ローソンの事故死などアクシデントはありながらも、宿の客や村の人達に実直に接する彼女の熱意に、次第に周囲も受け入れて、彼女を慕うようになります。

そんな中軍の伝来で村にやってきたのはリン大尉。彼は宿を開いたばかりの頃にも一度村に立ち寄っていたのですが、その時とは変わって、村中の信頼を集める彼女に心惹かれるようになります。

そんな二人の出逢いを描くのが第二楽章の「「ロマンティック インタールード」。ロマンティック、と題にある通り、終始ゆったりと、甘い旋律が続きます。

フルートとサックスのソロからホルンの決意のテーマへ。そのまま木管と共に愛のテーマを歌うと、オーボエのソロに繋がって行きます。木管によって温かい盛り上がりを見せると、バスクラリネットのソロによって終幕します。

各楽器のソロやソリが多い、静かな場面の多い楽章ですが、それゆえにメロディだけでなく、所々で入る合いの手や、内声のハーモニーの美しさにも耳が奪われます。

戦火は激しさを増し、付近の村々の行く宛のない孤児達をエイルウォードは宿で保護します。最終的には100名近くになった彼らの受け入れ先は見つかったものの、急いで山向こうの西安の街に向かわなくてはなりません。しかも通常の道は戦争の影響で使えないので山越えで、です。

飢えと寒さ、協力者の挺身と死。過酷な山越えの中で、彼女が子供たちに教えたマザーグース(イギリス童謡)の”This old man”を皆で歌いながら励ましあって進みます。

そして刻限を迎えた西安では、未だに到着しない一向に、軍の関係者は焦りや諦めを滲ませます。そんな中微かに聞こえて来たのは子供たちの歌声。徐々に大きく、力強くなる歌声。そして彼女たちは苦難を乗り越え、西安に辿り着いたのです。その喜びは街中に広がりました。

それを描く第三楽章の題は「ハッピーエンディング」。(ハッピーとは言いつつも、エンディングの前にキッツイ山越えから始まりますが……)

第一楽章のように高らかにテーマが響くのですが、後ろから山越えの厳しさを表すように、伴奏が迫ってきます。不安や焦燥感を掻き立てまくった後、主題が鳴り響き曲は一転、軽やかにドラムマーチが始まります。

ピッコロが歌い出すのは先程登場した童謡のメロディ。最初は遠くから聞こえて来るように軽やかに、そして楽器を変えながら何度も繰り返し続け、徐々に盛大になっていきます。転調してクライマックスを迎えると、木管達による温かな愛のテーマが流れます。最後は決意のテーマの断片と、盛大なハーモニーで終幕です。

曲全体を通して登場する二つのテーマ、そしてマザーグースのメロディーなど、親しみやすい旋律が多く使われています。聴き終わる頃には思わず口ずさみたくなってしまうのではないでしょうか?

映画音楽ならではのさまざまな場面、曲調や、印象的な旋律など、お楽しみいただければと思います。

そしてこの曲も前記事のイーストコーストと同じように静岡大学&愛知教育大学の合同ステージでの演奏となります!

以下、いつもの宣伝!

〈静岡大学吹奏楽団×愛知教育大学吹奏楽団 合同演奏会〉

11/13(日) の13:00開場  13:30開演

場所:愛知県 豊田市民文化会館 です。

チケットはこちらから→https://t.co/cMa9NLHoOr

書いた人:”This old man”に結構ハマったぴょん