【曲紹介ばいおん】D・ショスタコーヴィチ/交響曲第5番「革命」

おはようございます!曲紹介の時間です!

今回紹介するのはショスタコーヴィチ作曲「交響曲第5番『革命』」です。
大変有名な曲なのでもしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、まだご存知でない方のためにも、まずはこの曲が生まれた経緯からご説明させていただきます。

時は20世紀、ソ連に暮らすショスタコーヴィチは、若くして天才作曲家の名を欲しいままにし、日々作曲に明け暮れていました。しかしスターリン政権下のソ連では、芸術でさえもスターリンの厳しい監視の下に置かれていました。28歳の時に書いたオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」のテーマは“権力への闘争”でした。これがスターリンに危険視され、“社会主義体制への反逆者”との烙印を押されたショスタコーヴィチは迫害を受けることとなってしまいます。恐ろしい事にスターリンの凶手は親族や友人にまで及んだといいます。

このような憂き目にあったショスタコーヴィチは政権に媚を売るしか生き残る道がありませんでした、そうして出来上がったのがこの「交響曲第5番」だったのです。前衛的な手法が用いられた難解な交響曲第4番とは対照的に、まるでベートーヴェンを意識したかのような、古典的とも言えるほどわかりやすく、革命の賛美をテーマに書かれた第5番は、ロシア革命20周年記念の式典で演奏され、大成功を収めました。この成功により、彼は晴れて“社会主義体制への反逆者”の扱いから解放され、大作曲家としての地位を確かなものにしました。

と、ここまでがこの曲ができるまでの経緯ですが、本題はここからです!
ただスターリンを賛美するのを嫌ったショスタコーヴィチは、曲中に様々な仕掛けをしたのです。
今回は、僕たちが演奏する第4楽章の中から、わかりやすいものを2つご紹介したいと思います。

まず1つ目は、金管楽器によって奏でられる重厚な主題です。多くの人を唸らせる激アツなテーマなのですが、実はこれ、ある有名なオペラからの引用だと主張している人がいるんです、そのオペラとは、運動会でお馴染み、カルメンなのです!もちろん、運動会でお馴染みの序曲からではないのですが、かなり有名な「ハバネラ」から引用されたのではないかと言われています。さあじゃあどの部分だ、といった話ですが、実際に聞いてみましょう!
まずショス5から(余談ですが、クラシック音楽の世界ではこのように交響曲のことを作曲家の名前+その交響曲の番号で呼んだりします。例:ベト7)

https://youtu.be/d_ZLitfxmqA(該当箇所0:04〜)

かっこいいですねーーーーーーーー、覚えられましたでしょうか?
ではお次は歌劇「カルメン」より「ハバネラ」です。

https://youtu.be/cqbuPbCpOdo(該当箇所1:18〜)

お分かりいただけましたか?
その調性に対して5−1−2−3の音形が同じだと言うのです。

カルメンというオペラのテーマが”運命に立ち向かう”といったことから、ショスタコーヴィチが自らと重ね合わせたのではないかと言われています。

続いてはフィナーレの部分です、ここではヴァイオリン(吹奏楽版では木管楽器)がひたすらに“ラ”の音を刻みます、“ラ”は昔のロシア語で、「私」という意味です。あまりにも執拗に繰り返されるこの音は、自分を失わないようにとの彼の叫びにも聞こえます、、、

いかがでしたでしょうか、時代背景だけでなく曲の内容についても少し知っていただけると、曲を聴くのがもっと楽しくなると思います、ショスタコーヴィチの熱い思いを感じながら僕たちも演奏いたしますので、ぜひ12/8 、静岡市民文化会館にてお待ちしております!

 

 

書いた人 日本語を勉強している身分なりの語彙を意識して書きました、きのっくす